いつから保管してたか分からない乾電池・・・
少し使っただけで取り出した乾電池、なんだかもったいない・・・
「この乾電池って、まだ使えるの?」
そんな時に行いたくなるのが、乾電池の残量確認ですよね。
- 良い乾電池の残量確認方法はあるのでしょうか?
- また、残量を確認した中古乾電池は使えるのでしょうか?
気になるその辺りの話題について調べてみました。
もくじ
乾電池を落として確認する方法はあまり当てにならない
「電池の残量確認」で調べると出てくるのが、乾電池を落として確認するという方法。
(※アルカリ乾電池のみに有効な方法として紹介されています)
やり方としては、アルカリ乾電池を高さ数cm(3cmとか、5cmとか、10cmとか色々記述あり)からまっすぐ落とすと、
新品のアルカリ乾電池=倒れず立つ
中古のアルカリ乾電池=倒れる
といった感じで、「立つか?倒れるか?」で判定できるというもの。
一見簡単に分かりそうで「おお~」と思いますが、実はこの方法、いろいろと当てにならないのデス・・・。
そもそも残量確認の方法ではない
ネット上ではいろいろな説明がされていますが、そもそもこの方法、正確には残量確認の方法ではありません。
正しくは、「死んでる(=使えない)乾電池の見分け方」が元ネタのようです。
跳ねずに立つ=新品
跳ねて倒れる=そのアルカリ乾電池は使えない
として判定できるというものでした。
つまり、どれくらい残っているか?が分かるわけではなく、0(使えない)か1(使える)かのどちらかしか分からないということですね。
さらに新品かどうかも正しく判断できるわけでもない
さらに、この方法について、科学的に注意を呼びかける声が上がっています。
アメリカのプリンストン大学で、この落として確認する方法を科学的に検証し、
「跳ねるかどうかで、電池が使えるかどうかを判断するのは良くない」
として、待ったをかけたのです。
⇒Battery bounce test often bounces off target
こちらがその検証実験の動画になります。
見ると分かると思いますが、残量が8割くらいまで減ってもあまり違いが分かりません。
さらに残量6割くらいからバウンドが高くなり、5割以下は見分けがほとんどつきません。
ここから2つの可能性が出てきます。
- 新品と思っていても、実は7~8割くらいまで減っている可能性がある
- バウンドして「残量ゼロ」と思っても、実際はまだ5~6割も残っている可能性がある
ここから言えることは、
「アルカリ乾電池を落として確認する方法は、新品かどうかの判定にも、電池切れの判定にも中途半端」
ということですね。
そもそもどうして残量が減るとバウンドする?
「なぜ中古の乾電池はバウンドするか?」の理由もいろいろな説明が見られますが、間違ったものも多いようなので、ここに科学的な理由を記しておきます。
×マイナス極側にガスが発生する
×使うと電池が軽くなるから
△マイナス極側が膨らむから
正しくは、
○酸化亜鉛がバネのようなネットワークを形成するから
のようです。
実際にやってみたら、新品でも立たなかった・・・
この落として確認する方法、自分でも実際にやってみました。
そして、使えないと判断しました。
もちろん先ほどまでの話で、残量確認にも、新品かどうかの確認にも、非常に中途半端な方法だと分かった点もあります。
しかしそれよりも、新品ですら立つように落とすのが難しいのです。
プリンストン大学の実験では、アクリル樹脂の筒(プレキシガラス)に沿わせてまっすぐ落とすことで確認が可能となっていました。
果たして、人間の手でも同じように正確にまっすぐ落とすことができるでしょうか?
実際、私はうまくできませんでした。
新品のアルカリ乾電池でも、わずかでも斜めに落ちると倒れます。
そして少しでも高すぎると、これまた跳ねて倒れます。
あんな動画みたいにキレイにストンと落とすのは意外と難しいです。
検証の動画は間違いなく何度か取り直ししていることでしょう。
残量チェッカー、テスターなら「まだマシ」
より確実な方法としては、やはりテスターや残量チェッカーを使うことでしょう。
テスターは素人には扱いづらいので、簡単に使える残量チェッカーがオススメです。
最近はボタン電池の残量も測れるものがあるので便利ですね。
落として確認するよりも、ずっと確実な方法ではありますが、これらの測定装置事態にも誤差はありますし、乾電池ごとの個体差もあったりするので、1.5Vの乾電池であっても1.5Vより大きい値が出る場合もあります。
結局はテスターや残量チェッカーも、ある程度の目安と考えておく方が良いでしょう。
中古乾電池でプラスとマイナスが逆になる転極現象
たまにテスターで乾電池をチェックすると、プラスとマイナスが逆になる現象があります。
この現象は「転極現象」と呼ばれています。
転極現象とは、2個以上の乾電池を直列に接続して放電末期まで使った場合にまれに起こる現象で、機器の使用限界点をこえてさらに電池容量を引き出すと電池容量の微妙なバラツキで電池容量の少ない方の電池から急激に電池容量が引き出されます。そのため、内部の電極材料が過剰に減少し電圧バランスがくずれ、プラスとマイナスが逆になる現象です。「転極現象」は放電末期の電池で発生する現象で、電池として異常な現象ではありません。
(パナソニック公式サイトより)
全く知らないとビックリするかもしれませんが、もし出会ってしまっても驚かず、その乾電池はお住まいの自治体のルールに従って廃棄しましょう。
そもそも中古乾電池は「混ぜると危険」!?
残量確認がうまくいったとしても、また別の問題が出てきます。
「新品のアルカリ乾電池とマンガン乾電池」、「高容量の充電池と低容量の充電池」、「乾電池と充電池」のように異品種の電池を混用すると電池容量の低い電池にダメージが加わり液漏れや劣化を促進させる原因になります。(パナソニック公式サイトより)
液漏れや破裂を引き起こす恐れがありますので絶対に使用しないでください。
異なる種類の電池を同時に使うと、電池容量(エネルギー)が異なるために、電池容量の少ない方が過放電(放電しすぎること)状態になり、内部で異常にガスが発生し液漏れの原因や破裂にいたる場合があります。
また、全く同じ種類の電池でも新品の電池と使いかけの電池を同時に使用すれば、上記と同じように電池容量が違うために液漏れをおこす原因になります。(パナソニック公式サイトより)
という風に、異なる容量の電池を一緒に使うと、最悪液漏れや破裂の原因になるのです。
いつ、どれくらい使ったか分からない、使いかけの電池をついつい一緒に使ってしまいがちですが、意外と乾電池ってシビアなんですね。。。
参考
電池は混ぜて使うと何故だめなの?パナソニック公式HPより
参考
なぜ電池は,同一品番使用が重要なの?新旧混用がダメなのか?パナソニック公式HPより
参考
アルカリ・マンガン 異なる種類の電池を混ぜて使用可?パナソニック公式HPより
まとめ
使いかけの乾電池。
特に少し使っただけの乾電池は、もったいなくてついついもう一度使いたくなりますよね。
でも、それは意外にも危険と隣り合わせの方法なのでした・・・(少し大げさかもしれませんが)。
乾電池の残量を簡単にチェックする方法はあまり使えない方法ですし、テスターでチェックしても残容量が違えば一緒に使うことはあまり推奨ではないと。
後は、容量が違っても気にしないで使うか、同時に使うのスタートして最後まで使い切るか、自分のお好みで決めるしか無いのかもしれません。